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イングリッシュナショナルバレエ団 ~ヌレエフ版 ロミオとジュリエット~
昨年10月から今年1月にかけてイギリスの中央部マンチェスターから始まったイングリッシュナショナルバレエ団のツアー公演、ロミオとジュリエットの舞台をご紹介したいと思います。

ウェイン イーグリングを芸術監督とするこのバレエ団は1950年にロンドン フェスティバル バレエ団として誕生しました。
ロミオとジュリエットの作品は1965年にロイヤルバレエ団においてケネス マクミラン振付のヌレエフ主演で行われていますが、その後、1977年このバレエ団において今度はヌレエフ自身の振付けで行われました。今回はこのヌレエフ版が公演されるとあって注目を集める舞台となっていました。

初々しい少年の面影を残すロミオが演じられた一方で、気品を兼ね備え凛としたジュリエットも良かったのですが、初めから大人の女性のように感じられ、恋する前の子供らしいジュリエットも観てみたかったと少し残念に思ってしまったのは私だけだったのでしょうか。

舞台上の奥に大きなダイニングテーブルが用意され、人々が歓談しながら食事をする場面は一枚の絵画を観ているように美しく、 レンブラントの絵を彷彿させる美しい陰影ある照明は、ダンサーの踊りや演技をいっそう引き立てていました。
このバレエ団では、プリンシパルとして活躍する高橋 絵里奈さんを筆頭に、中村 誠さんら6人もの日本人ダンサーが活躍しています。
 
イギリスの偉大な劇作家で詩人でもあった シェークスピアと言えば、~時というものはそれぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだよ。~というような人生に対する知恵を私達に授けてくれます。
バレエでは言葉を使ってそのまま伝えるということはできませんが、ドラマチックなプロコフィエフの音楽と共に、踊りを通して語られる舞台にはシェークスピアの歌うようなせりふが聞こえてくる瞬間が、確かにあったように思えてなりませんでした。
(バレエ誌 セーヌ80号掲載)

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