Tunami Appeal Events in the U.K.-1
 広がるイギリスの支援活動の輪〜ひとりひとりの大きな力……1  
 真夜中、ぐっすりと熟睡している最中に、突然枕もとのスタンドガラスが破裂した。
不吉な予感を感じていた数日後、悪夢のような東日本大震災が発生することとなった。
 私の住むイギリスのヨークシャー地方でも、BBCの映像で一日中この悲惨なニュースを伝え続けていた。
イギリスだけでなく、現在全世界に散らばって暮らしている日本人達も又、家族や友人達の安否を気遣い、眠れぬ夜を過ごしたことだろう。
 しかし数日後、日本に暮らす多くの人達と同様、”自分にも何かできるはず。”と一人一人が真剣に考え模索し始めた。イギリス人と結婚した日本人達、駐在員として移住して来た家族、 そして留学中の学生や日本語を学ぶイギリス人達も。
パティシエ協力によるケーキ販売イベント
親子会のグループ募金活動
リーズ大学で行われた折紙ワークショップの支援の様子

 多くの人々の想いはひとつであり、日本のために何かをしようという気持ちは、どんどん膨らんで募金活動、現地へのメーッセージを込めたカードや寄せ書き集め、日本映画の上映会など、様々な活動が続けられている。
 ラジオやテレビでも、無料のクラシックのコンサートが開かれる情報が度々流れ、収益金が日本へと送られることになっている。

 現在、地元の親子会のグループが、あちこちで募金の活動やイベントを行っている。
私の取材したグループは募金をしてくれた方に渡すため、何千という数の折鶴を作り続けるなどの準備に追われている。
羽に” Thank you. ありがとう”と言う言葉が添えられたアイデア溢れる折鶴は、急きょ折り紙が足りないことから、オリジナルな紙作りから始まった。

 又、被災地に手書きのカードを贈ろうという運動と共に、小中学校の子供達から素敵な絵やメッセージが詰まった寄せ書きも集まって来ている。
日本語だけでなく、英語で語られる人々の想いは溢れるような長い手紙や自作の詩も含まれ、日本人達の翻訳の手助けもあって、今被災地へと送る準備が進められている。

 昨日は地元のリーズ大学で、折鶴を折るイベントがあると聞いたので訪れてみた。
この大学でジャパン ソサエティーを作っていたのは、かつて日本への留学経験のあるイギリスの学生達であった。
イギリス人が折鶴の折り方を熱心に他の学生達に教えている様子に、日本人である私もありがたい気持ちでいっぱいになった。
このイベントは鶴の折り方を教えることで参加者から入場料をもらい、それを日本の被災地へと送る計画になっている。

 募金活動やカードを贈る際のアイデアなど、人々から生まれる力に私は心底、圧倒された。
日頃私達は忘れがちであるが、人間はひとりひとりが大きな想像力や可能性を持っているのだ。
被災地の人々を思うとき、不自由な生活を強いられている日本の人々を思うとき、その力は想像をはるかに越える勢いを持って
私達を動かして行く。

 イギリスの新聞の一面に”頑張れ日本”とメッセージを掲げてくれたように、世界中の人々が日本人の”他の人を思いやる心、気遣い”を高く評価している。
自分や家族だけでなく、困っている時には他人同士であっても譲り合い助け合う心は、ニュースを通して世界中の人々に感動を与えているのである。

 現在、世界中でも支援の輪が広がっているが、これから1年、2年と時が経過した時、元の日常生活の忙しさに埋没し、過ぎ去った出来事として風化させることのないよう、私達は決意を新たにするべきだろう。

又、世界中が日本を支援しようと立ち上がっているこのありがたさを忘れず、私達も日本国内だけでなく世界で起こっている出来事にも目を向け、戦争によって家族を失ったり食べ物に苦しんでいる人々に対しても、もっと寄り添っていけたらと思うのである。(3月31日記)

〜イギリスにおいて日本の被災地へのカード贈りに、ご協力して下さった皆様へ〜

 急なお願いではありましたが、今回多くの方々のご協力のおかげで、被災地の皆さんへのカードやお手紙がこの半月ほどで合計228枚集まりました。

 この他にも4校の学校から素敵な寄せ書きも送って頂きました。
生徒さん達の文面にはその年齢とは思えないような素晴らしい言葉が数多く見られ、その真心は避難所の方々にもしっかりと届くに違いありjません。
又、お会いした事もない多くの方からご連絡を頂き、日本のために何かをしたいというお気持ちは皆さん共通していて、とても心強かったです。

 4月11日に東京にあるNGO団体ワールドビジョンへ、皆様からお預かりしましたカードや寄せ書きの3分の1を手渡して来ました。 又、その週に大田区被災者支援ボランティア調整センターの活動をされている小野さん(私のカメラマン時代の先輩でもあります。)が宮城県へ行かれ、残りの3分の2のカードを直接手渡して来て下さいました。

 心温まる文章を書いて下さった多くの皆様、英語で書かれた文章を翻訳して下さった方々、それから素敵なアイデアの詰まった寄せ書きやお手紙を送ってくれた生徒の皆さんやご父兄の方々にも、心から感謝したいと思います。
 
本当にありがとうございました。 Little 由美子